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歯がなくなるとどうなるの

こんにちは。戸塚そらいろ歯科院長の丹羽健二郎です。日々の臨床で歯を抜いて数年経ってる方から無くても支障がないから大丈夫という言葉をよく耳にします。

実際、どういうことが起きるのでしょうか。

(1)向かい合わせの歯が挺出(ていしゅつ)と言い、歯が伸びてくる

(2)隣の歯に接触していないと倒れてくる

(3)他の歯に負担がかかってくる

(4)空気が漏れて発音し難くなる

(5)骨が痩せてくる

(1)、(2)

我々は上下の歯が接触していると互いの力のバランスシートが保たれているからこそ、同じ位置に静止しています。例えば、上の歯が抜けたまま放置していると上の歯から抑える力がなくなるので下の歯が少しずつ伸びてきて根元が露出していき、沁みやすくなったり虫歯になりやすくなります。それをずっと放置していくと上の歯茎と接触するくらい伸びていき最終的には抜歯になってしまいます。

横の歯がなくなった場合も同様に手前の歯が無くなると支えを失って徐々になくなった歯の方向に倒れていきます。例えば乳歯から永久歯に生え変わるときに、2番目の大きい乳歯(6歳臼歯の手前)が早期に抜けてしまった場合などは6歳臼歯が抜けたところに倒れ込んできて、抜けた乳歯の下から永久歯が出てこれずに斜めに歯が生えてきたりすることがあります。

(3)

私たちは通常、親知らずを除く28本で支えています。歯が抜けてしまうと残りの歯にかかる負担は大きくなってしまいます。下の奥歯2本が無くなると、その手前に過大な負担がかかり歯が折れてしまったり、被せ物が取れたりします。そして、その歯がまた抜けるとまた手前というふうにドミノ式に負担がかかります。奥歯がなくなり上の前歯と下の前歯が残り、今度は下から突き上げる力が働くようになると上の前歯が今度は抜けてしまい、最終的には下の前歯が残ることが多いです。実際、統計的に残存率が最も高いのが下の前歯であることも、こういった理由になります。

(4)

何気なく話しているとき、我々の舌は動いています。舌の運動が阻害されると正しく発音できなくなってしまいます。歯が抜けてしまうと舌筋が弛緩(緩くなること)したり舌の運動が阻害されることによって話し難くなります。入れ歯に関しても、同じことが言えますが、よく使われるプラスチックの入れ歯は強度があまりないのでどうしても厚くする必要があります。それにより、舌が動くスペースが小さくなり話し難くなるのです。

(5)

入れ歯を例に出すと、よく骨が痩せて入れ歯が緩くなった、食べ物が入るようになったと聞きます。それは骨自体が痩せていくからです。我々の歯は骨の中に埋まっており噛むたびに骨に刺激が伝わります(骨伝導と言います)。それにより、骨を構成する栄養素が送られて骨が一定に保たれますが、歯を抜いてしまうと骨に刺激が加わらないので脳が栄養を送る必要がないと判断して骨が痩せていきます。

以上のことから、歯が抜けてしまって放置してしまうと、さらに歯を失うことになってしまいます。放置せず治療をすることが大切だと分かります。

 

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